【第5回テキスト】アルザス地方、シャンパーニュ地方、ジュラ・サヴォワ地方

アルザス地方

アルザス地方の概要

【アルザスの特性】

ドイツのすぐ隣、ヴォージュ山脈の東側に位置し、標高200~400mと高め。

ストラスブールからミュルーズまで100kmに渡る縦に長い産地。

気候は大陸性気候で、年間平均降水量は500~600mmとフランスで最も降水量が少ない。

【アルザスの主要ぶどう品種】

名称 備考

 
リースリング 栽培面積1位
ミュスカ
ピノ・グリ
ゲヴェルツトラミネール ゲヴェルツ=スパイシーという意味
ピノ・ブラン 別名:クレヴネル(Klevner)
シャスラ 別名:グートエーデル(Gutedel)
シルヴァネール

ピノ・ノワール

【アルザスの主要AOC】

AOC 生産可能色
アルザス(Alsace) 赤・白・ロゼ
アルザス・グラン・クリュ(Alsace Grand Cru)
クレマン・アルザス(Crement d’Alsace) 泡白・泡ロゼ

▶ アルザス(Alsace)

主に単一品種から造られるため、品種名をラベルに表記する。混醸する場合はエーデルツウヴィッカー(Edelzwicker)もしくはジャンティ(Genti)と表示することができるが、これは白ワインのみに表示できる。またAOCアルザスでは11のリューディ(小地区)がワインに地理的表示(産地)を付記できるが、AOCアルザスの規定よりも厳しくなり生産可能色は赤と白のみである。

▶ アルザス・グランクリュ(Alsace Grand Cru)

生産量はアルザスワイン全量のわずか%で、現在は51のリューディが認められており、ラベルにはヴィンテージの記載義務がある。ぶどうは手摘みが義務で、使用品種は指定されたリースリングミュスカピノグリゲヴェルツトラミネールの4品種のみ。主に単一品種で造るが、以下の3つのAOCは混醸、他品種の使用が認められている。

例外AOC 備考
A.G.C Zotzenverg(ゾッツェンヴェルグ) シルヴァネールの使用可能
A.G.C. Altenberg de Bergheim (アルテンブルグ・ド・ベルグハイム) 混醸可能
A.G.C.Kaefferkopf(ケフェルコプフ) 混醸可能

▶ クレマン・ダルザス(Cremant d’Alsace)

シャンパーニュ方式で造られ、ティラージュ(瓶詰)後の9カ月熟成が義務。ロゼはピノ・ノワールの品種指定。フランスで消費されるスパークリングワインの第1位。

アルザスの甘口ワイン

アルザスは雨が少なく日照に恵まれていることから、遅摘みによるパスリヤージュ(樹上乾燥)貴腐ぶどうから造られる甘口ワインが2種類存在する。

  • 遅摘み=ヴァンダンジュ・タルティヴ(Vendanges Tardives)
  • 貴腐=セレクション・ド・グラン・ノーブル(Selection de Grains Nobles)

これらを名乗るには以下の条件を満たさなければならない。

  1. ぶどう品種はアルザスの4大品種
  2. ぶどうはすべて手摘み
  3. 収穫時に最低含有量の糖分を有していること(以下の表)
指定品種 V.T. S.G.N.
リースリング、ミュスカ 244g/ℓ 276g/ℓ
ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネル 270g/ℓ 306g/ℓ

ロレーヌ地方の主要AOC

AOC 生産可能色
コート・ド・トゥール 赤・白・グリ
モーゼル 赤・白

シャンパーニュ地方

シャンパーニュの概要

【シャンパーニュの歴史と特性】

パリから北東に150km、フランスの産地の中で最も北にある産地。シャンパーニュという名称が使われるのは1600年ごろから。ぶどう畑はいずれも標高90~300mで、日照に恵まれ水はけが良い。土壌は石灰質(白亜質)土壌、気候は大陸性気候で、年間平均日照時間は約1700時間であるが、年によっては2100時間にもなり大変恵まれている。

【シャンパーニュの主要3地区+2地区】

▶ モンターニュ・ド・ランス地区

フランスのワイン産地で最北端の地域で、北緯49.5度。

▶ コート・デ・ブラン地区

白亜質の土壌が露出している地域。

▶ ヴァレー・ド・ラ・マルヌ地区

▶ コート・デ・セザンヌ地区

▶ コート・デ・バール地区

【シャンパーニュ地方の主要ぶどう品種】

ぶどう 品種 生産地区 特徴
シャルドネ ブラン地区、セザンヌ地区 エレガントさ
ピノ・ノワール ランス地区、バール地区 ボディと力強さ
ピノ・ムニエ マルヌ地区 果実味、丸み

白ぶどうだけを使ったものはブラン・ド・ブランと呼ぶ。

黒ぶどうだけを使ったものはブラン・ド・ノワールと呼ぶ。

【シャンパーニュ地方の主要AOC】

AOC 生産可能色 備考
シャンパーニュ ロゼ泡、白泡
コトー・シャンプノワ 赤・白・ロゼ
ロゼ・ド・リセー ロゼ ピノ・ノワール100%

【シャンパーニュ地方の格付け】

格付けは村に対して行い、格付けの度合いを80%~100%で表現する。

90~99%の格付け村(42)のぶどうを使用して作ったものをプルミエ・クリュ、100%の格付け村(17)のぶどうのみを使用したものをグラン・クリュとする。

【シャンパーニュ地方のグラン・クリュ(村)】

ランス地区(9) アンボネイ(Ambonnay)
ボーモン・シュル・ヴェスル(Beauumont-sur-Vesle)
ブジー(Bouzy)
ルーボワ(Louvois)
マイィ(Mailly)
ピュイジュー(Puisieux)
シルリー(Sillery)
ヴェルズネー(Verzenay)
ヴェルジ(Verzy)
マルヌ地区(2) アイ(Ay)
トゥール・シュル・マルヌ(Toure-sur-Marne)
ブラン地区(6) アヴィズ(Avize)
シュイィ(Chouilly)
クラマン(Cramant)
オジェ(Oger)
オイリー(Oiry)
ル・メニル・シュル・オジェ(Le Mesnil-sur-Oger)

【シャンパーニュの製造方法】

▶ 収穫(ヴァンダンジュ)

▶ 圧搾(プレスラージュ)

圧搾 名称 概要
1回目 ラ・キュヴェ(La Cuvee) テート・ド・キュヴェ(Tete de Cuvee) 4000kgのぶどうから2050ℓの搾汁
2回目 プルミエ・タイユ(Premiere Taille) さらに500ℓ搾汁
合計   4000kgから2550

※シャンパーニュ地方の樽(ピエス)が1樽205ℓ⇒1回目の搾汁で10樽分

▶ 一次発酵(プルミエール・フェルマンタシオン)

まずはスティルワインを作る。発酵期間は10~15

▶ 調合(アッサンブラージュ)

▶ 瓶詰(ティラージュ)

酵母と蔗糖(24g/ℓ)を添加する

▶ 瓶内二次発酵(ドゥジェム・フェルマンタシオン・アン・ブティユ)

▶ 澱とともに熟成(マチュラシオン・シュル・リー)

シャンパーニュ 備考
ノンヴィンテージ(ノンミレジメ) 最低15ヶ月の熟成義務
ヴィンテージ(ミレジメ) 最低3年の熟成義務、単一収穫年

▶ 倒立(ミズ・シュル・ポワント)

マダム・クリコが発明した、ピュピトル(Pupitre)という器具を使用

▶ 動瓶(ルミアージュ)

5~6週間かけて、毎日瓶を1/8回転ずつ回す

▶ 澱抜き(デゴルジュマン)

瓶口を-20度の塩化カリウム水溶液につけて、溜まった澱を凍らせてから栓 を外して澱を飛び出させる

▶ 門出のリキュール添加(リキュール・デスクペティシオン)

糖分を加える作業をドサージュと呼ぶ

▶ 打栓(ブシャージュ)

▶ ラベル貼り(エディクタージュ)

※シャンパーニュのアルコール度数は11度以上でなければならない

【シャンパーニュのラベル表示】

表記 名称 備考
N.M ネゴシアン・マニピュラン ぶどうの一部(全部)を購入してワインを生産する。ほとんどがこれに属す。
C.M. コーペラティヴ・マニピュラン 協同組合で生産・販売する
R.M. レコルタン・マニピュラン 自家ぶどうで生産。小規模生産者。
M.A. マルク・ダシュトゥール 買い手が所有する銘柄
R.C. レコルタ・コーペラトゥール 栽培家が加盟する協同組合
S.R. ソシエテ・レコルタン 同族の栽培家によって構成される会社

【シャンパーニュの甘味表示】

表示 味わい 残糖度(g/ℓ)
Extra Brut 極辛口 0~6
Brut 辛口 12未満
Extra Dry やや辛口 12~17
Sec やや甘口 17~32
Demi Sec 甘口 32~50
Doux 極甘口 50~

【シャンパーニュのボトルサイズ】

内容量(mℓ) 本数 名称
1500 2 Magnum(マグナム)
3000 4 Jeroboam(ジェロボアム)
4500 6 Rehoboam(レオボアム)
6000 8 Mathusalem(マチュザレム)
9000 12 Salmanazar(サルマナザール)
12000 16 Balthazar(バルタザール)
15000 20 Nabuchodonosor(ナビュコドノゾール)

ジュラ・サヴォワ地方

ジュラ地方の概要

【ジュラの特性】

スイスとの国境であるジュラ(アルプス)山脈の西側で、標高が200~400mと起伏が激しい。半大陸性気候で、ルイ・パストゥールの出身地である。

【ジュラの主要ぶどう品種】

白ぶどう 黒ぶどう
サヴァニャンナチュレ プールサール
シャルドネ=ムロン・ダルボワ トゥルソー
ピノ・ブラン ピノ・ノワール=グロ・ノワリアン

【ジュラの主要AOC】

AOC 生産色
コート・デュ・ジュラ 赤・白・ロゼ・黄・藁
アルボワ 赤・白・ロゼ・黄・藁
アルボワ・ピュピラン 赤・白・ロゼ・黄・藁
シャトー・シャロン
レトワール 白・黄・藁
マクヴァン・デュ・ジュラ V.D.L.・赤・白・ロゼ

シャトー・シャロンサヴァニャンからヴァン・ジョーヌだけを作るAOC

※ レトワールは「」の意で、土壌に星型のウミユリの化石が含まれる

ジュラの2つの特殊なワイン】

▶ ヴァン・ジョーヌ(Vin Jaune)

完熟したサヴァニャンから白ワインとして醸造後、60ヶ月木樽で貯蔵する。その際に目減り分の補てん(ウイヤージュ)も滓引き(スーティラージュ)もしない。このため酸膜酵母が活動し、ワインの液面に白い幕(フルール・デュ・ヴァン)が発生する。こうして時間をかけることにより、ソトロンという成分により独特の風味(クルミなど)を持つワインとなる。これを、クラブランという620 mℓの瓶に詰める。甘口ではなく、酒精強化をしていない辛口の白ワイン。別名で黄ワイン。

ウイヤージュ、スーティラージュの禁止

▶ ヴァン・ド・パイユ(Vin de paille)

剪定した遅摘みのぶどうを最低6週間、すのこ(もしくは)の上で乾燥させる(パスリヤージュ)。さらに約1年かけてゆっくり発酵させ、アルコールを14.5~17%まで上げる。熟成は2~5年(うち18ヶ月以上木樽熟成、圧搾日から3年間販売禁止)される。これをポ(Pots)もしくはドゥミ・クラブランと呼ばれる375 mℓの瓶に詰める。ヴァン・ジョーヌと違い、甘口に仕上がる。

サヴォワ地方の概要

【サヴォワの特性】

サヴォワ地方は海洋性気候で、アルプス山脈を挟んでスイス(レマン湖)、イタリアと接している。こちらでもヴァン・ジョーヌ、ヴァン・ド・パイユが作られているが、生産量のほとんどが白ワイン。

【サヴォワの主要ぶどう品種】

白ぶどう 黒ぶどう
シャスラ モンデューズ
アルテス=ルーセット ガメイ
ジャケール ピノ・ノワール
モレット

【サヴォワの主要AOC】

AOC 生産色
セイセル アルテスからの白のみ
ヴァン・ド・サヴォワ 赤・白・ロゼ
ビュジェイ 赤・白・ロゼ
ルーセット~~