【第4回テキスト】フランス ボルドー地方

フランスのワイン主要産地


 アルザス地方  アルマニャック地方  ボルドー地方
④ブルゴーニュ地方  シャンパーニュ地方  コニャック地方
 コルシカ島  ジュラ地方 ⑨ ラングドック・ルーション地方
 プロヴァンス地方  サヴォア地方  南西地方
 ロワール地方  ローヌ地方  

 

 数字で見るフランスワイン

【フランス全体の主要ぶどう品種と生産量】

生産順位 白ぶどう 黒ぶどう
ユニ・ブラン メルロー
シャルドネ グルナッシュ
ソーヴィニョン・ブラン シラー=セリーヌ

※ 白・黒ぶどう品種併せて一番多いのはメルロー

 

地域名 ワイン生産量(ℓ) 栽培面積(ha)
ラングドック・ルーション地方 1020万 17万
ローヌ地方 586万 12.7万
ボルドー地方 527万 11.2万
ロワール地方 268万 5.5万
南西地方 268万 5.7万
シャンパーニュ地方 258万 3.4万
プロヴァンス地方 180万 3.8万
ブルゴーニュ地方 140万 2.9万
ジュラ・サヴォア地方 23万 0.2万
アルザス地方 98万 1.5万

 

 フランスワインの歴史                    

フランスでは紀元前6世紀ごろ、フォカイア人が今日のマルセイユに初めてブドウ栽培をもたらした。その後ローマ人によってワイン造りは広がっていき、紀元前1世紀ごろローヌ地方、後にボルドー地方ブルゴーニュ地方、4世紀ごろにはシャンパーニュ地方へと広がっていった。

その後ワインはカトリック教会のベネディクト派やシトー派の修道僧により、キリスト教のミサ用として需要が高まった。その後1789年のフランス革命により市民の間でワインが飲まれることにより需要が高まったが、19世紀後半フィロキセラによる被害が広まった。その後産業革命が起こり、ワイン業界も復興する。しかし同時に偽ワインの流出や劣質ワインが出回るようになっていった。それを規制するためにフランス政府は原産地統制呼称制度(A.O.C.=Appellation d’Origine Controlee)を制定するようになった。

 

 ワイン法について

A.O.C.

1935年に制定され、国立原産地名称協会(I.N.A.O)が管理している。
2008年にヨーロッパのワイン法が改定され、A.O.P.(Applelation d’Origin Protegee)となっているが考え方は同じものである。AOCとはワイン法のことで、ワイン用ぶどうの品種、生育方法、醸造方法など様々なルールが厳しく決められている。それぞれの地域の個性・品質を守ることを目的とされており、ルールは各地域によって細かく設定されている。
原産地呼称は区画が小さいほど厳しくなり(一般的には)上質なワインとなる。

区画名
畑名 Romanee-Conti
村名 Vosne-Romanee
地区名 Cote de Nuits
地方名 Bourgogne

実際のラベルには「d’Origin」の部分が区画名となって表記されている場合が多い。下記はどちらも同じ意味だが、造り手によって表記が違う。

(例) Appellation Bourgone Controlee (A.C.Bourgone)

 I.G.P.(地理的表示あり)

AOCの下にはI.G.P.というランクがあり、これも地理的表示のあるワインとなる。
昔はV.d.P.(ヴァン・ド・ペイ)と呼ばれており、これもINAOが管轄している。

V.S.I.G(地理的表示なし)

さらに下のランクで、Franee Agrimerが管轄している。品種と収穫年のラベル表示が可能。

 

ボルドー地方

 ボルドーの歴史と特性

ボルドーは世界的にも名高いワインの名産地である。ボルドーワインの特徴としては渋みがあり、しっかりとした味わいのワインが多いが昔は現在よりも淡いクラレットというワインであった。ワインの造り方としては数種類のぶどうを混ぜて造る(アッサンブラージュ)のが一般的。

 ボルドーの地域と気候

北緯45度前後とワインの産地としては北側に位置するが、大西洋を流れるガルフ湾流の影響で温暖な海洋性気候である。また大西洋とぶどう畑の間にはランドの森と呼ばれる樹林帯が広がり、強い海風からぶどう畑を守っている。
ボルドーは「水のほとり」が語源であるように、大きな3つの河が流れている。

ガロンヌ川(左岸)

砂利質の土壌を形成。晩熟型のカベルネ・ソーヴィニョンが主に栽培。

ドルドーニュ川(右岸)
石灰粘土質の土壌を形成。粘土質土壌に適したメルローが多く栽培。

ジロンド川
砂利質が基本。カベルネ・ソーヴィニョンが主に栽培。

 

ボルドー地方の5大地区

メドック&グラーブ地区

ソーテルヌ地区

サンテミリオン、ポムロール、フロンサック地区

アントゥルドゥメール地区

コート地区

 

 

ボルドー地方の主要ぶどう品種

白ぶどう 黒ぶどう
セミヨン メルロ(面積最大)
ソーヴィニョン・ブラン カベルネ・ソーヴィニョン
ミュスカデル カベルネ・フラン
マルベック
プティ・ヴェルド

ボルドー地方のAOC

ボルドー全体でAOCは39ある。

 

ボルドー地方のジェネラルのAOC

AOC(ジェネラル) 生産可能色
ボルドー 赤・白・ロゼ
ボルドー・クレーレ(Claire) ロゼ(黒ぶどう)
ボルドー・シュペリュール(Superieur) 赤・半甘白
クレマン・ド・ボルドー(Cremant) 泡ロゼ・泡白

 

メドック&グラーブ地区

メドック&グラーブ地区の概要

ボルドー市の北側にメドック地区、南側にグラーブ地区と別れる。

メドック地区は更に、ジロンド川の上流のオー・メドック地区下流のメドック地区に分かれる。

メドック地区のAOC

地域名AOC(レジョナル) 村名AOC(コミュナル) 生産可能色
メドック
オー・メドック サン・テステフ
ポイヤック
サン・ジュリアン
リストラック・メドック
ムーリ・アン・メドック
マルゴー

※ リュドン村、マコー村、サン・ローラン村も存在するが、村名AOCがない ので広域のAOCオー・メドックを名乗る。

※ アルザック村、カントナック村、ラバルデ村も存在するが、村名AOCがな いので隣接するAOCマルゴーを名乗る。

メドック地区の格付け

1855年のパリ万博の際に、ナポレオン3世の命令でボルドー市の商工会議所が当時の取引価格に応じて格付けを行った。1~5級まであり、全部で61のシャトーが格付けされている。格付けは基本的には不変だが、1973年にCh.ムートン・ロートシルトが2級から1級へと昇格した。生産可能色はすべてである。

【1級】 Premiers Grands Crus (5)
AOC 村名 名称
ポイヤック ポイヤック ラフィット・ロートシルト
ラトゥール
ムートン・ロートシルト
マルゴー マルゴー マルゴー
ペサック・レオニャン グラーブ地区 オー・ブリオン

※ Ch.Haut Brionはメドック地区ではないが、その秀逸さから特別に選ばれた

【2級】 Deuxiemes Grands Crus (14
AOC 村名 名称
サンテステフ サンテステフ コス・デスドゥルネル
モンローズ
ポイヤック ポイヤック ピション・ロングヴィル・バロン
ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド
サン・ジュリアン サン・ジュリアン デュクリュ・ボーカイユ
グリュオ・ラローズ
レオヴィル・バルトン
レオヴィル・ラス・カーズ
レオヴィル・ポワフェレ
マルゴー マルゴー デュルフォール・ヴィヴァン
ラスコンブ
ローザン・ガシー
ローザン・セグラ
カントナック ブラーヌ・カントナック

 

【3級】 Troisiemes Grands Crus (14
AOC 村名 名称
サンテステフ サンテステフ カロン・セギュール
サンジュリアン サンジュリアン ラグランジュ
ランゴア・バルトン
マルゴー マルゴー フェリエール
マレスコ・サン・テクジュペリ
カントナック マルキ・ダレーム・ベッケー
ボイド・カントナック
カントナック・ブラウン
デミレーユ
ディッサン
キルヴァン
パルメ
ラバルド ジスクール
オー・メドック リュドン ラ・ラギュンヌ

 

【4級】 Quatriemes Grands Crus (10
AOC 村名 名称
サンテステフ サンテステフ ラフォン・ロシェ
ポイヤック ポイヤック デュアール・ミロン
サンジュリアン サンジュリアン ベイシュベル
ブラネール・デュクリュ
サン・ピエール
タルボ
マルゴー マルゴー マルキ・ド・テルム
カントナック プージェ
プリュレ・リシーヌ
オー・メドック サン・ローラン ラ・トゥール・カルネ

 

【5級】 Cinquiemes Grands Crus (18
AOC 村名 名称
サンテステフ サンテステフ コス・ラボリィ
ポイヤック ポイヤック バタイエ
オー・バタイエ
クレール・ミロン
クロワゼ・バージュ
ランシュ・バージュ
ランシュ・ムーサス
オー・バージュ・リベラル
ダルマイヤック
グラン・ピュイ・デュカス
グラン・ピュイ・ラコスト
ペデスクロー
ポンテ・カネ
マルゴー アルサック デュ・テルトル
ラバルデ ドーザック
オー・メドック サン・ローラン ベルグラーヴ
ド・カマンサック
マコー カントメルル

※ ダルマイヤックの旧名はムートン・バロン・フィリップ

メドック格付け表 のダウンロード

その他の階級

クリュ・ブルジョワ(Cru Bourgeois)

2003年に、247の生産者が初めて認められる。クリュ・ブルジョワは2年 毎に見直されるため、2016年の時点では278の生産者が認定されている。

クリュ・アルティザン(Cru Artisans)

畑の面積がhaに満たない小規模だが秀逸な生産者。現在は50の生産者が 認められている。

スゴン・ヴィン(Second Vin)

いわゆるセカンドワインのこと。そのシャトーのトップ・キュヴェ(代表 ワイン)ではないが、同じくらい質の高いワインのこと。

代表ワイン セカンドワイン
ラトゥール レ・フォール・ド・ラトゥール
マルゴー パヴィヨン・ルージュ
ラフィット・ロートシルト カリュアド・ド・ラフィット
ムートン・ロートシルト ル・プティ・ムートン
オー・ブリオン ル・クラレンス・ド・オーブリオン

 

グラーブ地区の概要

砂利質の地域で、粘土質や砂岩がみられる。メドック地区同様にカベルネソーヴィニョン主体。白ぶどうはセミヨンとソーヴィニョン・ブランから辛口の白ワインが造られる。

グラーヴ地区のAOC

地域名AOC(レジョナル) 村名AOC(コミュナル) 生産可能色
グラーヴ 赤・白
グラーヴ・シュペリュール 半甘白
ペサック・レオニャン 赤・白

グラーヴ地区の格付け

グラーヴ地区の格付けは、メドック地区の格付け(1855年)から約100年後の1953年に制定され、のちの1959年に修正・補完され16シャトーが認定された。
AOCはすべてペサック・レオニャンに属する。

名称 村名 タイプ
スミス・オー・ラフィット マルティヤック
ド・フューザル レオニャン
オー・バイイ レオニャン
ラ・ミッション・オー・ブリオン レオニャン
ラ・トゥール・オー・ブリオン タランス
パプ・クレマン ペサック
オー・ブリオン ペサック
ブスコー カドゥジャック 赤・白
カルボニュー レオニャン 赤・白
ドメーヌ・ド・シュヴァリエ レオニャン 赤・白
オリヴィエ レオニャン 赤・白
マルティック・ラグラヴィエール レオニャン 赤・白
ラトゥール・マルティヤック マルティヤック 赤・白
クーアン ヴェルナーヴ・ドルノン
クーアン・リュルトン ヴェルナーヴ・ドルノン
ラヴィユ・オーブリオン タランス

※ ラ・トゥール・オー・ブリオンは現在はラ・ミッション・オー・ブリオンに統合されていれる

 

ソーテルヌ、バルサック地区

ボルドー市の南東、ガロンヌ川の左岸に位置しその支流のシロン川を挟む。
小さなシロン川の水温は低く、大きなガロンヌ川の水温は高い。二つの川が合流する地点ではその水温の温度差から霧が発生する。太陽の光を受けて温められることによりボトリティス・シネレア菌が発生し、貴腐菌がつく。貴腐菌がついたぶどうは水分が蒸発し、糖分だけを残した干しブドウ状態になる。そのぶどうから造られたワインは非常に甘い甘口ワインとなる。品種はセミヨン

ソーテルヌ、バルサック地区のAOC(コミュナル)

AOC(村名) 生産可能色
セロン 白甘
バルサック 白甘
ソーテルヌ 白甘
カディヤック 白甘
ルピアック 白甘
サント・クロワ・デュ・モン 白甘

ソーテルヌ、バルサック地区の格付け

1855年、メドック地区の赤ワインと共に格付けが制定された。生産可能色は貴腐ぶどうから作られる甘口白ワイン。

名称 AOC 村名
Premier Cru Superieur(プルミエ・クリュ・シュペリュール)
シャトー・ディケム ソーテルヌ ソーテルヌ
Premier Cru(プルミエ・クリュ)
シャトー・クリマン バルサック バルサック
シャトー・クーテ バルサック バルサック
シャトー・ギロー ソーテルヌ ソーテルヌ
シャトー・リューセック ソーテルヌ ファルグ
シャトー・スデュイロー ソーテルヌ プレニャック
シャトー・クロ・オー・ペラゲ ソーテルヌ ボンム
シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョ ソーテルヌ ボンム
シャトー・ラ・フォリ・ペラゲ ソーテルヌ ボンム
シャトー・ラ・トゥール・ブランシュ ソーテルヌ ボンム
シャトー・ラボー・プロミ ソーテルヌ ボンム
シャトー・シガラ・ラボー ソーテルヌ ボンム

 

サン・テミリオン、ポムロール、フロンサック地区

サン・テミリオン、ポムロール、フロンサック地区の概要

左岸(メドック&グラーヴ地区)はカベルネ・ソーヴィニョン主体の骨格のしっかりした男性的なワインだが、右岸(サン・テミリオン、ポムロール、フロンサック地区)はメルロカベルネ・フランが主体のまろやかでしっかりとした女性的なワインである。
サン・テミリオン地区の周囲を取り囲むように、サン・テミリオンの名を冠した4つのAOC(サンテミリオン衛星地区)が拡がる。

サンテミリオン衛星地区
リュサック・サン・テミリオン(Lussac Saint-Emilion)
モンターニュ・サン・テミリオン(Montagne Saint-Emilion)
ピュイスガン・サン・テミリオン(Puisseguin Saint-Emilion)
サン・ジョルジュ・サン・テミリオン(Saint-Georges Saint-Emilion)

サン・テミリオン、ポムロール、フロンサック地区のAOC(レジョナル)

地域名 AOC 生産可能色
サン・テミリオン サン・テミリオン
サン・テミリオン・グラン・クリュ
サン・テミリオン衛星地区 リュサック・サン・テミリオン
モンターニュ・サン・テミリオン
ピュイスガン・サン・テミイリオン
サン・ジョルジュ・サン・テミリオン
ポムロール ポムロール
ラランド・ド・ポムロール
フロンサック フロンサック
カノン・フロンサック

 

サン・テミリオン地区の格付け

サン・テミリオン地区にも格付けがあり、AOCサンテミリオン・グラン・クリュを対象10年ごとに見直されている。生産可能色はすべてで、主要品種はメルロだがシュヴァル・ブランだけカベルネ・フランである。
階級としてはプルミエ・グラン・クリュ・クラッセとグラン・クリュ・クラッセに分かれていて、グラン・クリュ・クラッセはさらにAとBに分かれる

階級 名称
最上級 グラン・クリュ・クラッセ(A)
上級 グラン・クリュ・クラッセ(B) 14
並級 グラン・クリュ・クラッセ 64

 

プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)
シュヴァル・ブラン オーゾンヌ
アンジェリュス パヴィー

※ アンジェリュスとパヴィーは2012年にクラッセ(B)から昇格した

プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(B)
ヴァランドロー トロロン・モンドット
パヴィー・マカン ラ・モンドット
カノン ボーセジュール
ガフリエール ベレール・モナンジュ

 

ポムロール地区の優良ワイン

ポムロール地区は小規模で格付けもないが、非常に優秀なワインを産出する。
クラス・ド・フェール(Crasse de fer)という鉄分を含んだ土壌により、力強く官能的なワインが生まれる。

代表的なワイン
コンセイヤント ル・パン
ペトリュス ネナン
トロタノワ レヴァンジル
ラフルール ド・サル

 

アントル・ドゥ・メール地区       

ガロンヌ川とドルドーニュ川の間に挟まれており二つの海の間という意味。
格付けもなく有名なワインもあまりないが、さわやかで気軽に飲めるデイリー白ワインを生産している。

アントル・ドゥ・メール地区の主要ぶどう品種

白ぶどう 黒ぶどう
セミヨン メルロ
ソーヴィニョン・ブラン
ミュスカデル

アントル・ドゥ・メール地区のAOC(レジョナル)

AOC 生産可能色
アントル・ドゥ・メール
アントル・ドゥ・メール・オー・ブノージュ
ボルドー・オー・ブノージュ 白甘
グラーヴ・ド・ヴェール 赤・白
サント・フォワ・ボルドー 赤・白

 

コート地区

コート地区のAOC(レジョナル)

地域 AOC 生産可能色
ジロンド川右岸 ブライ
コート・ド・ブライ
ブライ・コート・ド・ボルドー 赤・白
コート・ド・ブール 赤・白
ドルドーニュ川右岸 カスティヨン・コート・ド・ボルドー
フラン・コート・ド・ボルドー 赤・白
ガロンヌ川右岸 カディヤック・コート・ド・ボルドー
プルミエール・コート・ド・ボルドー 白甘
コート・ド・ボルドー・サン・マルケール