【第15回テキスト】ドイツ

ドイツ

 

ドイツの概要

北緯47~52度の範囲にあり、ぶどう栽培の北限に位置する。ぶどう栽培面積は約10万ha、ワイン生産量は約900万hℓ。

歴史としては、古代ローマ人がドイツを征服しぶどう栽培を始める。当時のワインはヴィティス・シルヴェストリス(今のリースリング)が主であった。

のちにローマ軍がドイツ南部に白ぶどうのエルブリング(Elbling)の苗木を植える。ゲルマン民族の大移動によりぶどう栽培は一時荒廃するが、カール大帝の意向によりワイン造りは活性化していく。

1130年にベネディクト派の修道院がヨハニスベルク(Johannisberg)に、1136年にシトー派の修道院クロスター・エーベルバッハ(Kloster Eberchch)が開設。後の1755年にはヨハニスベルク城でぶどうの遅摘みのシュペートレーゼ(Spatlese)が発見され、1783年にはアウスレーゼ(Auslese)の開発がされた。

 

【ドイツのワイン用語】

用語 意味
ヴァイスヴァイン(Weisswein) 白ワイン
ロートヴァイン(Rotwein) 赤ワイン
アップフュルング(Abfullung) 瓶詰
エアツォイガー(Erzeuger) 生産者
ケラー(Keller) ワインセラー
ヴァインケラーライ(Weinkellerei) ワイナリー、醸造所

 

ドイツのワイン法

ドイツのワイン法改正は何度も行われているが、2008年のEUワイン法導入に伴い地理的表示付きワインと地理的表示なしワインの2つに大別された。

 

【地理的表示付きワイン】

ドイツのワインは98%がg.U.ワインである。

 

▶ 原産地呼称保護ワイン(g.U.)

①プレディカーツヴァイン(Pradikatswein)

ドイツワインとしては最高級の格付けで、生産量の23%を占める。

補糖はできず、エクスレ度(Oechsle)という果汁の糖度を図る数値で6段階に格付けし、糖度が高いほど品格が高いとされている。

公的機関による品質検査を受け公的検査番号(アー・ペン・ヌンマー)をラベルに表示しなければならない。公的検査番号の右端の数字は「検査年」を示す。

名称 度数 Oe 概要
トロッケンベーレンアウスレーゼ 5.5% 約150 貴腐ぶどう

糖度が最も高い

アイスヴァイン 自然に樹上で凍結
ベーレンアウスレーゼ 約120 貴腐ぶどうの加熱状態
アウスレーゼ 7% 約100 充分に熟成したぶどう使用
シュペートレーゼ 約90 通常より1週間以上遅い収穫
カビネット 約80 熟したぶどう使用

 

②クヴァリテーツヴァイン(Qualitatswein)

プレディカーツヴァインに次ぐ格付けだが、プレディカーツヴァインとの最大の違いは補糖が可能(制限あり)な点である。補糖には制限があり、バーデン地方では16g/ℓとされている。

かつてはクーベーアー(Q.b.A.)と表記していた。13ある特定ワイン生産地域のいずれか1つの地域内で栽培・収穫されたぶどうを100%いる。生産量はドイツ内で約75%。アルコール最低度数は度。

 

▶ 地理的表示保護ワイン(g.g.A.)=ランドヴァイン(Landwein)

ランドヴァイン指定地域(26地域)で収穫されたぶどうを85%以上使用する必要がある。基本的にトロッケン(辛口)またはハルプトロッケン(中辛口)。

 

【地理的表示なしワイン】

▶ ドイッチャー・ヴァイン(Deutscher Wein)

以前はターフェルヴァインと呼ばれ、ドイツ国内産のぶどうを100%使用義務。

 

【CLASSICとSELECTION】

▶ CLASSIC(クラシック)

単一ぶどう品種のみで造られた辛口ワイン

▶ SELECTION(セレクション)

単一畑の単一ぶどう品種のみで造られた上級辛口ワイン

 

【ズュースレゼルヴェ(Suβreserve)】

収穫後の果汁の一部を発酵させないまま保存させたもの。これをワインの甘味調整やバランスを取るために25%以内の量で添加することが可能。

 

【ドイチェス・ヴァインジーゲル(Deutsches-Weinsiefel)】

ドイツワイン保障印のこと。

 

ドイツにおけるぶどう畑の格付け

【ファウ・デー・ペー(V.D.P.)】

1910年創立のドイツ高級ワイン生産者連盟による段階の品質基準。

▶ グローセ・ラーゲ(Groβe Lage)

グラン・クリュ(特級)に値する最上級の区画。辛口はグローセス・ゲヴェックス(Groβes Gewachs)と称しロゴをボトルに記載できる。

 

▶ エアステ・ラーゲ(Erste Lage)

プルミエ・クリュ(一級)に値する優れたぶどう畑。

 

▶ オルツヴァイン(Ortswein)

村名ワインに相当。

 

▶ グーツヴァイン(Gutswein)

エステートワイン。醸造所名、生産地域、品種表示が可。

 

ドイツワイン樽の名称

名称 容量(ℓ)
フィアテル・シュテック(Viertel Stuck) 300
ハルプ・シュテック(Halb Stuck) 600
フーダァ(Fuder) 1000
シュテック(Stuck) 1200
ドッペル・シュテック(Doppel Stuck) 2400

 

ドイツのワイン

【スパークリングワイン】

▶ パールヴァイン(Perlwein)

ドイツ微発砲性のワインの総称。

 

▶ シャウムヴァイン(Schaumwein)とゼクト(Sect)

発泡性ワインで、20℃で3.5気圧以上、アルコール度数10度以上のもの。

名称 概要
ゼクトb.A. 特定生産地域生産のぶどう100%使用義務。

品種表示は85%以上で、上位品種のみ表記可能。

ドイチャー・ゼクト ドイツ産ぶどうのみ使用可能
ゼクト ベースワインに輸入ワインを使用可
シャウムヴァイン 異なる国、年のワインをブレンドできる

※ メトード・アンセストラルと同様の製法をペットナット(Pet-Nat)という

 

【ロゼワイン】

▶ ヴァイスヘルプスト(Weiβherbst)

単一品種、単一畑から造られるロゼワインでQ.b.A以上の品質。

 

▶ ロートリング(Rotling)

黒ぶどうと白ぶどうを混ぜて造るロゼワイン。地域によって名称が違う。

名称 生産地域、概要
シラーヴァイン(Schillerwein) ヴュルテンベルク地方
バーディッシュ・ロートゴルト

(Badish Rotgold)

バーデン地方、グラウブルグンダーとシュペートブルグンダーから醸造
シーラー(Schieler) ザクセン地方

 

【ビオワイン】

ビオ農法に取り組む宇生産者たちの団体がいくつかあるが、その中でも一番大きいのはエコヴィン(ECOVIN)と呼ばれる団体で、236の生産者が加盟。

デメーターには46の醸造所が加盟している。

 

【ディア・ノイエ(Der Neue)】

ドイツの新酒のこと。ヴィンテージは表示義務、品種は表示可能。

販売は11月1日より可能。

 

 

ドイツの主要ぶどう品種

【白ぶどう】

品種名 概要
リースリング(Riesling) 生産量世界位(60%)、ドイツでは23%
ミュラー・トゥルガウ

(Muller-Thurgau)

リヴァーナー(Rivaner)

栽培面積12%

グラウブルグンダー

(Grauburguder)

別名:ルーレンダー、ピノ・グリ

生産量世界2位

ヴァイスブルグンダー

(Weiβburgunder)

別名:ピノ・ブラン、クレヴネル

生産量世界1位

ケルナー(Kerner) トロリンガー(Trollinger)×リースリング
バッフース(Bacchus) ショイレーベ×ミュラー・トゥルガウ
ショイレーベ(Scheurebe) シルヴァーナー×リースリング
グートエーデル(Gutedel) 別名:シャスラ(Chasselas)

 

【黒ぶどう】

品種名 概要
シュペートブルグンダー

(Spatburgunder)

別名:ピノ・ノワール

生産量世界3位、バーデン地方が最大

ドルンフェルダー

(Dornfelder)

ヘルフェンシュタイナー×ヘロルドレーベ

ドイツで栽培面積約8%

ポルトギーザー(Portugieser)
シュヴァルツリースリング

(Schwarzriesling)

別名:ミュラーレーベ、ムニエ

 

ドイツの主要ワイン産地

ドイツのワイン産地はベシュテムテス・アンバウゲビーテ(Bestimmte Anbaugebiete)という13の生産地域に分けられ、各地域はベライヒ(Bereiche)という41の地区に分かれる。

各ベライヒにはグロースラーゲ(Grosslage)と呼ばれる163の複合畑があり、これはアインツェルラーゲ(Einzellage)という2657の単一畑に分けられる。

アインツェルラーゲの中でも秀逸な畑はオルツタイルラーゲ(Ortsteillage)という特別単一畑の称号が与えられ、これはたった5つの畑しかない。

※アンバウゲビーテ = ○○地方(関東地方、中部地方など)

ベライヒ = ◎◎県(神奈川県、愛知県など)

グロースラーゲ = □□市(横浜市、名古屋市など)

アインツェルラーゲ = △△区(中央区、北区など)

オルツタイルラーゲは形容しにくいので、かなり特別だというイメージで。

 

【アール(Ahr)地方】

シュペートブルグンダーから造られる赤ワインが約割と比率が高い。

 

【モーゼル(Mosel)地方】

世界的に有名なリースリングの銘醸地で割以上が白ワイン。ベルンカステル地区は傾斜30度以上もある急斜面でシーファーと呼ばれるスレート状の石が畑を覆う特殊な土壌がある。ゼクトに使用されるエルブリングも有名。

オルツタイルラーゲが1つある。基本的な1ha当たりの最大収量は125hℓだが、エルブリング種のみ150hℓ。

 

地区名(ベライヒ) ザール(Saar)
村名 ヴィルティンゲン(Willtingen)
畑名 シャルツホーフベルグ(Scharzhofberg)
意味 シャルツホーフの山

 

【ミッテルライン(Mittelrhein)地方】

栽培面積はドイツで2番目に小さい細長いワイン産地。

 

【ラインガウ(Rheingau)地方】

モーゼル地方に並ぶ銘醸地。リースリングが生産の約割を占めている。

オルツタイルラーゲが4つもある。1ha当たりの最大収量は100hℓ。

1981年にカルタ(Charta)という協会が作られ、ここで造られたワインはカルタヴァインと呼びリースリング100%から造られる中辛口のワイン。

 

地区名(ベライヒ) ヨハニスベルク(Johannisberg)
村名 ヨハニスベルク(Johannisberg)
畑名 シュロス・ヨハニスベルク(Schloss Johannisberg)
意味 ヨハニスベルク城

 

地区名(ベライヒ) ヨハニスベルク(Johannisberg)
村名 ヴィンケル(Winkel)
畑名 シュロス・フォルラーツ(Schloss Vollrads)
意味 フォルラーツ城

 

地区名(ベライヒ) ヨハニスベルク(Johannisberg)
村名 エストリッヒ(Oestrich)
畑名 シュロス・ライヒャルツハウゼン(Schloss Reichartshausen)
意味 ライヒャルツハウゼン城

 

地区名(ベライヒ) ヨハニスベルク(Johannisberg)
村名 ハッテンハイム(Hattenheim)
畑名 シュタインベルク(Steinberg)
意味 石の山

 

【ナーエ(Nahe)地方】

ナーエ川に沿って開いている産地。

 

【ラインヘッセン(Rheinhessen)地方】

西はナーエ川、北と東はライン川に接しているドイツ最大の生産量と栽培面積

白ぶどうのシルヴァーナー、黒ぶどうのドルンフェルダーはドイツで栽培面積が最大。ニーアシュタイン(Nierstein)のローテンベルク(Rothenberg)が有名。

 

【ファルツ(Phalz)地方】

若手醸造家の活躍が目覚ましく、国内外からの評価が高い。

 

【ヘシッシェ・ベルクシュトラーゼ(Hessische Bergstraβe地方】

リースリングの栽培が有名。

 

【フランケン(Franken)地方】

マイン川に接し、唯一バイエルン州に属する。Q.b.A.以上のワインはボックスボイテルという特殊な瓶に詰められる。ミュラートゥルガウが有名。

 

【ヴュルテムベルク(Wurttemberg)地方】

ネッガー川の斜面に広がる地域。赤ワインが有名。

 

【バーデン(Baden)地方】

ドイツの最南端の生産地で平均気温は高く、ドイツでは唯一Bゾーンに属す。

 

【ザーレ・ウンストルート(Saale-Unstrut)地方】

ドイツの最北

 

【ザクセン(Sachsen)地方】

ドイツの最東に位置し、ワイン消費量は国内最小。

 

【13の栽培地域の栽培面積・生産量】

順位 栽培面積 生産量
ラインヘッセン ラインヘッセン
ファルツ ファルツ
バーデン バーデン
ヴュルテンベルク モーゼル
モーゼル ヴュルテンベルク