【第14回テキスト】ポルトガル

ポルトガル

 

ポルトガルの概要

ポルトガルはイベリア半島に位置し、花崗岩の土壌で棚仕立てがみられる。

ポートワインマディラワインはシェリーに並んで世界三大酒精強化ワイン。

ポルトガルでは1756年に当時の首相マルケス・デ・ポンバルがポートワインの原産地管理法を制定したが、これが世界最初の原産地管理法となる。

1907年からはD.O.(デノミナサン・デ・オリジェン)が制定されている。

現在では新EU法に基づき、地理的表示付きワイン(DOP、IGP)と地理的表示なしワイン(Vinho)に分かれている。

南蛮貿易が盛んだったころ、織田信長に献上された赤ワインを珍蛇酒という。

 

ポルトガルの産地と特徴

北部

【ミーニョ(Minho)地方】

ヴィーニョ・ヴェルデ(Vinho Verde)

ポルトガルの最北部に位置し、ミーニョ川一帯に広がる地域で国内の14%を占める広い地域。ワインの生産量もポルトガルのスティルワインのDOPの中で最も多い。

ヴィーニョ・ヴェルデとは「緑のワイン」を意味し、微発砲でフレッシュな若々しい白ワインである。品種はアルバリーニョ(Albarinho)種を使用する。

 

【トランスモンターノ(TransMontano)地方】

DOPトラス・オス・モンテスがあり、ミーニョ地方の東側からスペイン国境まで広がる。

 

【デュリエンセ(Duriense)地方】

▶ ドウロ(Douro)

ドウロ河沿いに位置し、栽培面積がポルトガルで最大。

黒ぶどうのティンタ・ロリス(Tinta Roriz)が有名。

これはテンプラニーリョのシノニムで、アラゴネス(Aragonez)とも呼ぶ。

 

▶ ポルト(Porto)

1756年にポートワインの原産地管理法を導入した地域。畑はカダストロ(Cadastro)という格付けがなされ、A~Fまでの段階に区分される。I.V.D.P.が生産・販売を管理する。

※ ポートワインについては後述

 

中部

【テラス・デ・ド・ダォン(Terras do Dao)地区】

▶ ダォン(Dao)

生産量の8割以上が赤ワインで、トゥリガ・ナショナル(Touriga Nacional)種から力強いワインが生産される。

 

【ベイラ・アトランティコ(Beira Atlantico)地区】

▶ バイラーダ(Bairrada)

コインブラ市から海岸に広がる、ポルト市の南側にあるDOP。

バガ(Baga)というタンニンの強い品種から力強い赤ワインが造られる。

 

【リスボン(Lisboa)地方】

▶ カルカヴェロス(Carcavelos)

酒精強化ワインの産地として有名。

 

▶ コラーレス(Colares)

ラミスコ(Ramisco)種という非常に珍しい黒ブドウから赤ワインが造られる。

フィロキセラの被害を受けていない樹が未だにある。

 

▶ ロウリニャア(Lourinha)

アグアルデンテと呼ばれるブランデーの産地。

 

南部

【ペニンシュラ・デ・セトゥーバル(Peninsula de Setubal)地方】

▶ セトゥーバル(Setubal)

モスカテルから造られる酒精強化ワインが有名。

 

諸島

【マデイラ諸島(Madeira)】

リスボンから南西に1000㎞離れた諸島で、エンリケ航海王に発見される。

▶ マデイラ(Madeira)

※後述

 

【アソーレス諸島(Scores)】

リスボンと同じ緯度で、リスボンから西に1500kmの大西洋上に浮かぶ9つの島からなる諸島。

▶ Pico

アソーレス諸島で2番目に大きな島からなるDOP。

クライス(Currais)と呼ばれる黒い火山岩でできた小さな石垣がある。

アリント(Arinto)種から白の酒精強化ワインが造られる。

ラジド(Lajido)という酒精強化ワインはかつてロシア皇帝や英国の宮廷で愛されていたことで有名。

 

ポートワイン

ポートワインはぶどうの収穫後、除梗、破砕され発酵槽で2~3日発酵と醸しを行い、求める糖度になったときに発酵中の液を抜き、そこに77%のグレープアルコールを添加(ベネフィシオ=Beneficio)する。

かつてはヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア(Villa Nova de Gaia)で熟成されて出荷される決まりだったが、1986年以降、ぶどう生産地にて熟成・出荷することが認められた。

 

【ポートワインの種類】

ポートワインには、黒ブドウを原料としたレッド・ポートと、白ブドウを原料にしたホワイト・ポートの2種類に大別でき、レッド・ポートはさらにルビータイプトウニータイプに分かれる。アルコール度数は19~22度だが、ライト・ドライ・ホワイトと呼ばれるホワイト・ポートは例外に最低16.5度まで認められている。

 

レッドポート(ルビータイプ)

ルビータイプは平均3年間の樽熟成後に瓶詰される若いタイプのポートワイン。

スペシャルタイプ 概要
ヴィンテージ・ポート

(Vintage Port)

単一年の、特に優れたぶどうから造られる。

年目7月~3年目6月までろ過せず瓶詰熟成。

IVDPへは年目の1月~9月の間に申請。

デカンタージュ必要

レイト・ボトルド・

ヴィンテージ・ポート

VPまでには達しないが、優れたぶどうを原料として造られる。

年目7月~6年目年末までろ過して瓶詰熟成。

IVDPへは年目の3月~9月の間に申請。

 

レッドポート(トウニータイプ)

ルビーポートをさらに長期熟成させ、黄褐色(トウニー)となる。

スペシャルタイプ 概要
熟成年数表記

トウニー・ポート

(Tawny with an Indication of Age)

長い年月樽熟成させ、10年、20年、30年、40年ものがある。

ろ過するのでデカンタージュは必要ない

コリェイタ

(Colheita)

収穫後年樽熟成、以降に瓶詰を行う。

IVDPへは年目の7月~年末の間に申請。

 

ホワイトポート

通常のポートよりも発酵を長くした、比較的辛口タイプのもの。

スペシャルタイプとしてライト・ドライ・ホワイト・ポートがある。

 

マディラワイン

マディラワインは加熱熟成するのが最大の特徴である。

発酵途中に96%のグレープスピリッツを添加する。最終的なアルコール度数は17~22度。生産管理はIVBAM

 

【マディラワインの主要品種】

品種名を表示するには、表示品種が85%以上使用される必要がある。

品種 タイプ 概要
ティンタ・ネグラ・モーレ

(Tiinta Negra More)

島のほとんどで栽培される。

3年熟成タイプの80%以上がこれ。

セルシアル(Sercial) 冷涼な気候を好み、華やかな香り。
ヴェルデーリョ(Veldelho) 涼しい北部で栽培、中辛口。
ボアル(Boal) 暖かい南部で栽培、中辛口。
マルヴァジア(Malvasia) 熱い地域、濃厚でリッチな味わい。
テランテス(Terrantez) 生産量が極めて少ない、高級品種。

 

【マディラワインの熟成方法】

熟成方法 概要
カンテイロ

(Canteiro)

太陽熱を利用した天然の加熱熟成法

単一収穫年が表示された高級品に対して行われる。

エストゥファ

(Estufa)

人工的な加熱装置が使われ、35~50度の温度で最低3ヶ月

加熱される。その後クーバ(Cuva)と呼ばれる大樽で3年間熟成させる。スタンダードタイプのワインに対して行う。

 

【マディラワインの熟成表示】

マディラは3年以上の樽熟成義務があるが、それ以上の表示も可能。

熟成方法 概要
レゼルヴァ 年以上
スペシャル・レゼルヴァ 10年以上
エクストラ・レゼルヴァ 15年以上
フラスケイラ(Frasquera)

ガラフェイラ(Garrafeira)

単一品種、単一収穫年

20年以上樽熟成。