【第25回テキスト】その他酒

清酒

米、米麹、水を原料として発酵し、漉したもの。アルコール度数は22%以下。弥生時代には口噛みと呼ばれる方法での糖化、奈良時代では米麹による糖化が普及した。サービス温度は6~60℃、一般的な清酒では常温(15~20℃)もしくはぬる燗(40~42℃)から上燗(48℃)で味わいのバランスが良くなる。
秋に楽しむ「ひやおろし」は、春先に火入れをして夏の間寝かせ、二度目の火入れをせずに楽しむもので、9月から11月に出荷される。夏を超すことで秋に酒質が向上することを秋上がり秋晴れという。旨みのもとはアミノ酸
生産量は1位:兵庫県、2位:京都府、3位:新潟県

【段仕込み】
日本酒は酒母(酛)をベースに原料(蒸米、麹、仕込み水)を加えて醪とし、アルコール発酵を進めていく。原料の投入を分割して行い、適度な酵母の増殖を図りながら仕込みを進めていく。このような方法を段仕込み、段かけ法という。初添、仲添、留添と3回に分けて行う三段掛けが一般的。

 

【水】
全成分の約80%を占める。総じて酒造用水と呼ばれ、直接日本酒の一部となる仕込み水、出来上がった酒のアルコール分を調整する割水などがある。
灘の男酒 :水中のカルシウムとマグネシウムの量が多い硬水
伏見の女酒:水中のカルシウムとマグネシウムの量が少ない軟水

【原料米】
粳(うるち)米が中心。日本酒造りに適しているのは適度な吸水性を持ち外硬内柔菌糸の破精込みが容易、酒母や醪づくりにおいて消化性が良いことが求められる。これらの性質を持つ米を酒造好適米、酒米などと呼び、心白も適度に大きい。山田錦の心白は線状であるのに対し、雄町の心白は球状

▶ 山田錦
晩稲品種。生産量が1位。

▶ 五百万石
早稲品種。淡麗という表現は五百万石の為にあるといわれる。生産量2位。

▶ 美山錦
長野県でガンマ線照射による突然変異から発生。生産量3位。

▶ 雄町
晩稲品種。1859年に大山(鳥取)参拝の帰途に岡山県高島村大字雄町の篤農家の岸本勘蔵により発見され当時は二本草と命名。唯一の混血のない品種。

 

【酒母】
文字通り酒の母と言うべき、酒造りの核となるものの一つ。酒母は2つに大別。

▶ 生酛系酒母
生酛と山廃酛に代表される。いずれも自然の乳酸菌を取り込み増殖させ、その乳酸菌が生成する乳酸によって雑菌による汚染を防ぐ酵母培養法。

▶ 速醸系酒母
醸造用乳酸を添加して行う酒母培養法。

 

【酵母】
酵母は出芽、分裂によって増殖する単細胞の菌類の総称で、自然界に広く分布。日本酒の醸造に用いる清酒酵母はサッカロマイセス・セレビシエの一種に分類。現在、優良酵母として用いられているのは日本醸造協会の「きょうかい酵母」。
きょうかい6号(新政)、7号(真澄)、9号(熊本または香露)、10号(明利小川)、14号(金沢)など。また伏見の月桂冠が開発したM310きょうかい1801号などは近年よく使用されている。

 

【製法品質表示】
▶ 精米歩合

特定名称 精米歩合(%)
純米酒 規定なし
本醸造酒 70
大吟醸酒・純米大吟醸酒 50

 

▶ 地理的表示
国が地域ブランドとして保護する地理的表示(GI)に、日本酒では白山が2005年12月に指定された。その後、国は2015年12月、新たに日本酒をGIに指定。2018年6月、灘五郷(西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷)もGIに指定。

 

焼酎

焼酎は連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎に分かれる。両方を混合したものを混和焼酎と呼ぶ。連続式蒸留はほぼ無味無臭のクリアな味わいの焼酎に仕上がり、単式焼酎は原料の個性を残すことができる。

▶ 壱岐焼酎(長崎)
麦焼酎であり江戸時代末期の米不足により作られた。

▶ 球磨焼酎(熊本)
を原料にし、人吉を中心に球磨地方の焼酎。

▶ 薩摩焼酎(鹿児島)
サツマイモを原料としたイモ焼酎。

▶ 琉球泡盛
米麹(黒麹)のみを原料としている。古酒(クースー)3年以上熟成。

▶ 黒糖焼酎
原料解釈ではラムとなるが、奄美大島周辺の単式蒸留である。

 

ウイスキー

▶ モルトウイスキー
二条大麦のみを原料とし、単式蒸留器2回蒸留を行う。モルトウイスキー原酒だけで造ったものをピュアモルトウイスキーと呼ぶ。同じ蒸留所のモルトウイスキー原酒だけで蒸留したものはシングルモルト

▶ グレーンウイスキー
トウモロコシなどを原料とし、連続蒸留器で蒸留したもの

▶ ブレンデッドウイスキー
モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして造ったもの

【世界の5大ウイスキー】

名称 産地 概要
スコッチ スコットランド ピート(草灰)でスモーキーな香り
アイリッシュ アイルランド 癖のない味わい
バーボン アメリカ 51%以上のトウロモコシと少しのライ麦
カナディアン カナダ
ジャパニーズ 日本

 

ブランデー

果実もしくは果実および水を原料として発酵させたものを蒸留したもので、蒸留の際アルコール分は95度未満とされている。

【オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン】
ワインを蒸留したもので、コニャックやアルマニャックがこれにあたる

 

【オー・ド・ヴィー・ド・マール】
マールとは搾りかすを意味し、圧搾済みのふどうの房や果皮などを発酵・蒸留して得たオー・ド・ヴィー(蒸留酒)。イタリアではグラッパ(Grappa)と呼び、ヴェネト州バッサーノ・デル・グラッパ産が特に有名。

 

【オー・ド・ヴィー・ド・フリュイ】
ぶどう、りんご以外のフルーツを使って造るオー・ド・ヴィー。果実によって①発酵し蒸留して造られる方法と②浸漬し蒸留して造られる方法がありドイツ語では①をワッサー(Wasser)と②をガイスト(Geist)と呼ぶ。

▶ カルヴァドス(Calvados)
アップルワイン(Cidre)をつくり、それを蒸留して造る。ノルマンディー地方が名産。カルヴァドスでは230種類のリンゴおよび121種の梨の使用が可能。単式蒸留器でシードル、ポワレを2回蒸留。ポワレの混合は30%以内で、アルコール度数は40度以上。

 

▶ その他のフルーツブランデー

名称 概要
スリーズ(Cerise) サクランボ、別名キルシュワッサー
プリュヌ(Prune) スモモ
ミラベル(Mirabelle) 黄色のプラム
ケッチェ(Quetsche) 紫色のプラム
ミルティーユ(Myrtille) コケモモ
フランボワーズ(Framboise) 木イチゴ
ポワール・ウィリアムズ 洋ナシ

 

スピリッツ

▶ ジン(Gin)
穀類を原料に蒸留して得られたグレーンスピリッツなどに、ジュニパーベリーやコリアンダーシードなどのボタニカルを加えて、再度蒸留したもの。無色透明で、ボタニカル特有の香味がありマティーニなどのベースとなる。

名称 生産 概要
シュタインヘーガー ドイツ 柔らかい味わい
ジュネバ オランダ 穀類原料、2,3回蒸留、風味濃厚
ドライジン ロンドン ボタニカルの特徴をシャープに有す
カフェジン ニッカ カフェスチルで蒸留
季の美 京都 英国と融合
ROKU サントリースピリッツ、さくらやお茶
和美人 本坊酒造、麹ベース

▶ ウォッカ(Vodka)
穀類やイモ類を原料に得られたスピリッツを白樺炭でろ過した蒸留酒。クセのない風味、無色透明が一般的だがズブロッカ草の香りをつけたものなど様々なフレーバードウォッカも販売されている。スクリュードライバーモスコミュールのベース。スミノフ、アブソルート、グレイグース、チトースなどがある。

 

▶ テキーラ(Tequila)
竜舌蘭(ブルー・アガベ)51%以上使用義務、メキシコ西部のハリスコ州全域、ミチョアカン等各州の一部と規定。竜舌蘭も指定品種、地域以外で製造されたものはメスカルと区別される。マルガリータのベース。

名称 概要
テキーラ・ブランコ ホワイト、シルバーテキーラと呼ばれる
テキーラ・レポサド 樽で短期間熟成
アニェホ 年以上熟成
エキストラナニェホ 年以上熟成。別名ムイアニェホ

 

▶ ラム(Rum)
サトウキビから搾汁し、発酵させ蒸留したスピリッツ。西インド諸島(マルティニーク)で生まれた。ホワイトラム、ゴールドラム、ダークラムがある。

 

▶ アクアヴィット(Aquavit)
北欧で製造されるスピリッツ。ジンと同じ製法だが、キャラウェイ、フェンネル、アニスなどを用いてほの甘い香味を有する。

 

リキュール


リキュールとは薬草をワインに溶かし込み水薬のようなものを造ったとされていて、後に錬金術の発達によって洗練された。初期のリキュールは薬酒という性格が強かった。16世紀になるとポプロというリキュールがパリに紹介。

日本へのリキュールの伝来は、秀吉の時代に「利休酒」と伝わった説と、平安時代に中国から伝わったとされる「屠蘇(とそ)」が起源という説がある

EUでリキュールの定義はアルコール分15%以上、糖分含有量が1ℓ当たり100g以上と定められている。さらに1ℓ当たり250g以上の糖分があれば、クレーム・ド(creme de)という呼称を用いることができる。ただし、クレーム・ド・カシスだけは400g以上が必要となる。

 

【薬草系】
▶ アブサン(Absinthe)
ニガヨモギを香料の主原料とする。ニガヨモギに含まれるツヨンが健康を損ねることが分かり一時期販売が禁止となった。

▶ アニゼ(Anises)

種類 概要
白色アニス 甘草(リコリス)不使用。ベルジェ・ブランが有名。
カラー・アニス 甘草不使用。ペルノが有名。
パスティス 甘草使用。リカール、ベルジェ、パスティス51
アニゼット 甘いリキュール。マリー・ブリザールが創始者。

▶ キンキナ(Quinquina)
イタリアにてワインベースにキナの木の樹皮を用いた酒精強化ワイン。

▶ シャルトリューズ(Chartreuse)
フランスのヴォワロン修道院で生まれ、130種の植物から造られる。

種類 概要
ヴェール(Verte) 55度。スパイシーな風味。緑。
ジョーヌ(Jaune) 40度。まろやかな蜂蜜風味。黄。
エリクシル・ヴェジェタル 69度。

※ 緑と黄には、VEPという8年樽熟成させたものがある

 

▶ ベネディクティン(Benedictine)
フランス北部ノルマンディ地方で1510年に誕生。27種の薬草・スパイス使用。ラベルのDOMは至善至高の神に捧ぐの意味。

▶ スーズ(Suze)
リンドウの根を主原料としている。

▶ カンパリ(Campari)
ミラノ生まれ、ビター・オレンジの果皮が主原料。

▶ アマーロ(Amaro)
イタリア産で、苦いを意味する。

▶ サンブーカ(Sambuca)
イタリア産。アニスシード、エルダーベリーなどをスピリッツに浸漬。

▶ チナール(Cynar)
アーティチョークを主原料。

▶ イエーガーマイスター(Jagermeister)
ドイツ産。56種類のハーブやスパイスが主原料。

▶ ドランブイ(Drambuie)
スコッチウイスキーにはちみつやハーブを配合。心を満たす飲み物の意。

 

【果実系】
▶ キュラソー(Curacao)
オレンジの果皮が原料。ホワイト、オレンジキュラソーが基本。ホワイトキュラソーはコアントローが有名で、オレンジキュラソーはグラン・マルニエが有名。

▶ マラスキーノ(Maraschino)
チェリーが主原料で、ルクサルドが有名。

 

【ナッツ・ビーン・カーネル・特殊系】
▶ アマレット(Amaretto)
アンズの核が主原料で、アーモンドの香りがする。

▶ フランジェリコ(Frangelico)
ヘーゼルナッツ風味。

▶ ベイリーズ(Bailey’s)
アイルランド産。

▶ アドヴォカート(Advocaat)
エッグ・リキュール。

 

中国酒

伝統的な中国の酒造りの特徴の一つに、原料中デンプンの糖化に使用する麹があげられる。日本の麹を散麹(バラコウジ)と呼ぶのに対し、伝統的中国酒で使用する麹は曲(餅麹)と呼ばれる。

名称 概要
白酒(パイチュウ) 蒸留酒
白蘭地(パイランディー) ブランデー
黄酒(ホワンチュウ) 醸造酒、糯米原料、紹興酒、老酒
ピイ酒 ビール

 

カクテル

ある酒に別の酒や、何かを加えて、新しい味を創作した飲み物と定義される。

技法 概要 代表カクテル
ビルド 直接グラスに造るの意 ジントニック
ステア ミキシンググラスで混ぜる マンハッタン、マティーニ
シェーク 振るという意味 ジン・フィズ、サイドカー
ブレンド 機械でクラッシュアイスを使用 フローズンダイキリ

 

タイプ 概要
アペリティフ 甘みを抑え、できれば酸味、苦みをもつものが理想
ディジェスティフ ブランデーが代表
オール・ディ 食事と関係なく飲む。ソルティ・ドッグなど
ノン・アルコール シャーリー・テンプルが有名

 

ミネラルウォーター

WHOの品質ガイドラインでは硬度が120mg/ℓ未満のものが軟水、以上のものが硬水と定義されている。日本とアメリカでは加熱殺菌をしなければならない。日本人の一人当たりの消費量は31.7ℓ。

分類 概要
ナチュラルウォーター 濾過、沈殿、加熱殺菌以外の処理を行わない
ナチュラルミネラルウォーター
ミネラルウォーター 本来成分を変化させる処理を行ったもの
ボトルドウォーター(地下水) 電気分解などで成分を大きく変化させる
ボトルドウォーター(それ以外) 法令に基づく加熱殺菌などの処理が必要

 

ビール

麦芽(二条大麦)、ホップ、水を使用し麦、米、トウモロコシ等を副原料に使われたもの。麦芽の重量の100分の5の範囲内で果実などの副原料が使用可能。副原料が50%以上のものを発泡酒と呼ぶ。1516年にドイツではビール純粋令が定められ、原料に麦芽、ホップ、水以外は使用してはならないと指定した。ルイ・パストゥールが低温殺菌法を発明し、ビールの長期保存に貢献。後にハンセンが酵母の純粋培養法を発明し、このことも普及に大きく貢献した。一人当たりの消費量はチェコが143ℓで1位であり、日本では40.1ℓ(7位)となる。世界のビール生産量は約19億hℓ、生産量1位は中国

 

ビールの分類
▶ 使用酵母による分類
下面発酵ビール:発酵終了時に酵母が沈降
上面発酵ビール:発酵中に液面に浮かび上がる

▶ 特定表示

名称 概要
ラガービール 貯蔵工程で熟成させたビール
生ビール 熱処理していないビール
黒ビール 濃色麦芽を使用し香味が強いビール
スタウト 濃色麦芽を使用し、色が濃いビール

 

▶ 世界のビール

名称 産地 概要
ピルスナー チェコのプルゼニュ 下面発酵
ボック ドイツのアインベック 下面発酵、バイエルンで発展
エール イギリス 上面発酵

ホップのきいたペール・エール

アルト ドイツのデュッセルドルフ 上面発酵
バイツェン ドイツのバイエルン 上面発酵。小麦(バイツェン)使用
トラピスト ベルギー 上面発酵。修道院で製造。
スタウト イギリス 上面発酵。ギネスが有名。
ランビック ベルギーのブリュッセル 自然発酵